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『アメリカ雑記帳』 

山川エアマートまどか

STUDIO ART CENTERS INT. (フィレンツェ)留学。WITTENBERG UNIVERSITY (オハイオ州)美術学部・陶芸科卒業。フジテレビジョン 広報を経て、報道カメラマンとして勤務。退職後、アメリカに転居。フリーカメラマンをしながらイラストレーターに。(現在、ワシントDC近郊のヴァージニア州スプリングフィールド在住)

ウェブサイト  www.madokadoodle.com

2004年1月31日 『プロモシートとパンケーキ』



山川エアマートまどかと申します。以前はテレビの報道カメラマンという男らしい仕事をしておりました。イラストレーターになるために退職したわけではなかったのですが、人生はすごく短い!ということにある日気が付いて以来、どうせなら自分の好きなことで『食って』行けたらいいなあと思い続けて今は駆け出しのイラストレーターです。駆け出しも駆け出し、クラウチングスタートの前傾姿勢でピストルが鳴って、手が地面から離れた瞬間というところにおります。(機会がありましたらwww.madokadoodle.comに是非お立ち寄り下さい。)

住まいはアメリカ東海岸の、首都ワシントンDCから30分程の所でヴァージニア州にあります。ワシントンDCはホワイトハウスを始め、アメリカ政府の機関がてんこ盛りでして、東京でいいますと永田町や霞ヶ関のイメージです。銀座や青山っぽい界隈がないとはいいませんが、基本的には政治家と政府の機関で働く人達、弁護士とコンサルタントが小さい街にひしめいているのです。ニューヨークやロスでしたら、アートやデザイン関連におけるカラフルな話題が豊富だったのに、と思いますと悔しい気持ちもしますが、私が今いる場所はここ。ニューヨークやその他の都市のアートシーンは他の方々にお任せして、私は自分の身近の半径15マイル以内(?)で見聞き出来るような話題を皆さんに御紹介出来たら、と思います。とりとめのない話題が入り乱れての繰り言たわごと戯れ言になってしまうかもしれませんが、この雑記帳にお付き合いいただければ幸いです。

私はまだまだセルフプロモーションが主な日課ですが、日本のイラスト界のしきたりも、アメリカでの業界の常識もこれから学ぶことが沢山ありそうでちょっとくらくらします。私が想像していたことと違った現実の一つが、コネのない人が飛び込みでアメリカのしかるべき誰かに作品を見てもらうということはものすごく嫌われているということです。忌み嫌われている、と言ってもいいかもしれません。まず作品を見てもらいたいと思ったら、そしていずれ仕事が欲しければ、初めにプロモシート/セルシートなどと呼ばれる作品サンプルに『プロとしての認識を感じさせる態度の』丁寧なお願いの手紙をつけて郵送すること、そして先方が会いたいと言って来るまでは電話連絡も、ましては突然訪ねて行ってはいけないということがかなり徹底しています。『興味がある場合のみこちらから連絡します』しごく当たり前といえば当たり前、それがシビアに感じられるのはまだ私がこの業界の入り口にいるから、なのでしょう。もちろん会社によって異なるシステムもありますが、基本的にはフレンドリーな国民性を考えるとちょっと不思議な気もする程です。これはそうでもしないと次から次へとものおじしないイラストレーターや写真家志望者などがどどーっと押し掛けて来て、ただでさえ忙しいのに仕事にならないということでしょう。私が今後知るべき暗黙の了解っていろいろあるようです。

『クレジットカードをお薦めするよ』
イラストレーターとしてやって行くならば、と言われたことです。これはクレジットカードを使えということではなく、クライアントからの支払いをクレジットカードの引き落としで処理出来るようなシステムを作っておいた方が、発注を受けやすいかもしれないし、相手からの支払いがスムーズに行くということです。実績がないとクレジットの許可もおりないので、これは私が今考えることではないですが、例えばワシントンDCに多い政府関係のクライアントですと、『予算』『申請』『経理』『支払い』などお役所特有のスローなシステムの中ではクレジットカードが断然便利なため、カードでチャージしてくれるイラストレーターであるかそうでないか、で発注に差が出ることさえ時にはあるといいます。(もちろんスタイルが最大のポイントではありますが)さすがカード大国。考えたこともありませんでした。レップがいればこういう心配はないのでしょうけれど・・・奥が深いのでレップの話はまた今度に。

あれこれ驚いたり、ちょっと勉強した気持ちになったりいろいろですけれど、苦労して用意した作品サンプルを郵送しても、そのうちの多くは(あえてほとんどとは言いたくない)受け取り相手のデスクの上のslush pileと呼ばれる『とりあえず積んどくけどとるに足らない』山の中に埋もれて行くことを思いますと、正直へこむこともあります。打たれ強くなるように体質改善しなければ・・・

へこんだ時に私が足を(というか車の鼻先を)向けるのは、ダイナーやパンケーキハウスです。イタリアにはバールが、フランスにはカフェが、そして日本には喫茶店がありますが、アメリカが誇るべき休憩兼エネルギー補充の場所は、スターバックスではなく、数々のダイナーだと私は思うのです。ダイナーは定食屋とか簡易食堂と訳されることもあると思いますが、一口でいいますと朝食メニューがウリのファミレスです。しかも全てのメニューが身体に悪そうであるという(事実とても悪い)時代と逆行している所ですけれど、でも私はらくちんに食べられるこれらのコンフォートフードって嫌いではありません。ファーストフードチェーンのお店が『すっごく不健康』ということで威勢よく叩かれているアメリカでも不滅だと思います。パンケーキハウスはもっとパンケーキやワッフル、クレープ側にバイアスがかかったメニューですが、基本的には同じです。

思いきりカロリーが高そうな、バターでぎとぎとした食べ物ってなんであんなに美味しいんでしょうか。どでかいミートローフが腕の太いウェイターに運ばれて行くのを横目で見ながら、そしてしつこいベーコンの匂いを嗅ぎながら、洗練されてない甘いふわふわのパンケーキを食べたり、夜中にフレンチトーストとスクランブルエッグにソーセージを添えて食べたりするのが好きなのが私だけではない証拠に、最近は多くの場所で24時間(もしくは営業時間内いつでも)朝食メニューをやっていると言ううたい文句をかかげるところが以前よりも多い印象を受けます。食べやすいですもの。目と気力を使った後では身体に良くても食べやすいとはいえないものより、コレステロールが多かろうがなんだろうが食べるのに何の努力もいらないものについつい傾きます。もちろんこれがいつもであってはたまったものではありませんので、週に三日はお味噌汁という和食の生活あってこそ、なんですけど。疲れた時にはこうしてヘルシーって一体どんな意味だっけ、とささやかにぐれて自分の暗中模索ぶりをなだめます。



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