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『アメリカ雑記帳』 

山川エアマートまどか

STUDIO ART CENTERS INT. (フィレンツェ)留学。WITTENBERG UNIVERSITY (オハイオ州)美術学部・陶芸科卒業。フジテレビジョン 広報を経て、報道カメラマンとして勤務。退職後、アメリカに転居。フリーカメラマンをしながらイラストレーターに。(現在、ワシントDC近郊のヴァージニア州スプリングフィールド在住)

ウェブサイト  www.madokadoodle.com

2004年2月9日 『レップと狂牛病』



アメリカではほとんどのイラストレーターはレップやエージェントと呼ばれる事務所に属しているのだと以前は思っていましたが、どうやらそれはちょっと違うようでした。もちろん、レップの数やそこに所属するアーティストはイラストから写真、そしてファインアートに至るまで日本よりも多くいることは確実ですが、フリーランサーの数もやはり多いのです。例えが適当かどうか分かりませんが、掃いて捨てる程の数のフリーランサーがいるとしますと、レップの数はお金が道に落ちているのを拾う確率に似ているような気がします。決して不可能ではないですし、しかも大金を拾う(=ものすごく有名尚かつ優秀ななレップの事務所に属してばんばん稼ぐ)人だっているわけですが、それほど日常的とはいえないという点で。レップに自分の営業の部分を任せることの利点については、国は違えど誰もが想像出来ると思いますので、あえてレップを持つことの弊害について書かれた記事(DavidNiles:もとアートスクールの教授であり、フリーのイラストレーターによる)を元にアメリカのレップと関係を持つことのマイナス部分をいくつかリストアップしてみたいと思います。

レップは成功への鍵とは限らないというその理由の数々ですが・・・。

曰く、手数料がかなり高いという理由。差はあるものの25〜30%がスタンダードでしょう。葉書などのDM素材の費用もレップとアーティストの折半もしくは大半がアーティスト負担ということを考えますと、税金やレップ手数料を引かれた後の金額は果たして割りに合うのか?ということになります。

曰く、レップが貴方のために働いてくれると言う考えを持ってはいけない、ということ。レップはもちろんイラストレーターの作品を扱って収入を得ているわけですが、だからといって今後の個人の仕事の分野を広げようだとか、アーティストのクオリティーを高めるために働くのが目的ではありませんレップの多くは、既に強いコネクションやクライアントをある程度持っているアーティストに興味を示すのである(これはすごくアメリカっぽいように思ったのですが)と言われるとなんだか後ずさりしたくなります。

曰く、レップに食い物にされないようにすること。という忠告があるということは、イラストレーターを食い物にする悪徳レップもアメリカにはいると覚悟しておけ、ということでしょうか。出版関係者に何らかのコネを持っている人が、レップとしての看板をかかげることがそれほど難しくはないため、そのクオリティーに関しては玉石混交であるという理由。もちろんレップが煩わしいことをさばいてくれるおかげで、『描くこと』という本来の業務に集中することが出来るのは精神的に楽ですが、でもレップの中には優秀ではないものも混じっているのだから食い物にされないように注意すべき、ということなのでしょう。

他にも出版関係者からのアドバイスとしては、レップにも攻撃範囲があり、まずこれは短期間で売れるか売れないか、という基準だけで仕事を判断するという危険性があるということです。例えばあるイラストレーターが、犬の童話を売り込みたいと思っているとします。限りあるレップの売り込み先の出版社がどこでも『うちではもう犬の童話は出したことあるから』とか『その路線はうちの社風に合わない』という、作品のクオリティーは高かったとしても、なんとも割り切れない理由によって却下されてお蔵入りすることはしばしばあるといいます。99社で断わられた挙げ句に100社目で受け入れてもらってベストセラーを出したというフリーランサーのねばり具合を体験談として読みますと、レップはそこまではしてくれない、という意味が分かるように思います。レップというのはえてして目先の儲け主義だけに走ってしまい、個人のカラーややりたい仕事の希望というのは後回しになる可能性があり、それは長い目で見るとかなり恐いことではないだろうか、というのはNilesの忠告でもあります。

それでも、やっぱり、レップを見つけることは私にはとても魅力的に思えるのですが、ひとまずはあせらずに、巡り会う仕事をどれも丁寧にこなすということが先決です。レップに食い物にされないようにしないといけないという思いも頭の片隅に置きつつ、いずれコンタクトをしてみたいなと思います。競争率はとても高いようなのですがそれはあまり考えないようにして・・・

広告の世界は俗に『Dog eat dog world』(時として共食いになるような、かなりシビアで残酷な競争があるという例え)といわれますが、先日、イラストや絵本の世界はそれをもじって『Bunny eat bunny world』であるという表現を聞いてちょっと笑いました。犬ほど激しく戦うことがない、平和な動物であるうさぎが、可愛く(?)だけど一生懸命に競争する世界ということのように受け取れます。イラスト界は食うか食われるかという激しさばかりの商売でないにしても、とどのつまりはそれなりの熾烈な競争が常にあるということです。

肉を食らう話で思い浮かぶのが、話題になっている狂牛病です。飼料に牛の身体の一部が混ざっていたのがそもそもの原因と言うことは、これも一種の共食いですね。吉野屋をはじめとした外食産業の混乱ぶり、アメリカと日本の対応の違いなど、日本のニュースでは連日かなり気合いの入った報道がなされていますが、アメリカでの反応はといいますと・・・危険性は低いであろうという認識なのか、ビーフの需要が落ち込んでいるという印象は全く受けません。スーパーでも精肉コーナーでは変わらずビーフが一番スペースを大きくとって、広告の文字も賑やかです。牛肉の価格が安いので困る、と牧場を経営する人は言っていましたが、牛肉が安く売られているとやはり買ってしまう人は多いですから需要としては減っていない印象なのです。お昼時のマクドナルドのドライブスルーは、感心するほど列が出来ているのも相変わらずです。

メディアはそれなりに狂牛病の事実を伝えているのですけれど、日本のように全国的に強い認識が持たれるという現象にはなりにくいようです。うちでは私が何となく疑惑を感じてしまい、ついつい牛以外の肉が頻繁に食卓に登ることになりますが、それでもステーキハウス、先日行ってしまいました。狂牛病の話題のせいで客足が減ったということはないようで『いやあおかげさまでいつも忙しくて』とウェイターが空席待ちの人び多さに驚く私達に言いました。何はなくともとにかく肉!(それも牛!ステーキもしくはロースト!)とじゃが芋があれば満足、というミートアンドポテトマンがやはりアメリカには多いとみえます。

鳥インフルエンザに関して、義母が『私の小さい頃はほとんどの家で鶏を飼っていたのを覚えてる。私も餌をやったりしたものだ』と話していました。だからアメリカ東海岸の数州で鳥ウイルスの話が見付かる前からひとごととは思えなかったのだ、と。このような感想を多くのアメリカのある年代以上の人は持っていることと思います。多くの家で鶏を飼っていたという事実はアメリカでも日本でもそんなに昔むかしのことではありません。今のアジアの国々の状態はひとごとではない現実なのです。狂牛病と鳥インフルエンザに続いて、狂豚病や豚インフルエンザなどが起きないことを祈ります。そうなったら今以上に魚介類やマトンなどがお店に並ぶのでしょうか。私は牛丼がどうせ食べられない場所にいるもので身にしみるような牛肉への渇望がないために反応がずれているかもしれませんが、この際、他の肉を開拓してみる良い機会だと思います。例えばマトンは私は好きなのですけれど、臭みが強いとかでそれほど日常的に食べられているとはいえない肉ですよね。ジンギスカンやラムチョップ以外の美味しい食べ方もあるのに惜しいと思います。

鹿の肉を食べたことがある方、それほど多くはないのでは?今の時期、我が家の冷凍庫には鹿の肉(ベニスン)がしこたま入っています。これは鹿が増え過ぎているヴァージニア州ではポピュラーなスポーツ(に分類されるのだと思いますが)である、ハンティングを好む家族がいるからです。弓矢での狩りのシーズンの後、銃のシーズンがありましたので、鹿肉が補充された家庭は少なくない筈です。野生の鹿はワシントンDC市内ではさすがにあまりみかけませんが、その近郊の住宅地であるうちの近所には、寒さのせいで餌が不足しているためにしばしば鹿が数頭ずつさまよっています。
(もちろんここでは撃てませんが)鹿を食べますと、その姿を可愛いと思いつつも、今の時期だと身がやせててまずそうだなあとふと思ってしまうのに気が付いてはっとします。ビーフだポークだ、などと呼び方を柔らかくしても、やはり自分は牛や豚や鳥を食べて生きている肉食の生き物なのだという自覚です。

buffalo burger

鹿の肉はバッファローの肉に似ているのですが(分かりにくいですね)簡単にいいますと獣を食べているということがよく認識出来る強い味です。ビーフをワイルドにした感じ、といいますか。バッファローはアメリカでは飼育が年々盛んになって来ているので、近所のスーパーでも当たり前のように見ることが出来ます。バッファローのステーキやハンバーガーなど、肉に脂が少ないためさっぱりした印象で味も強くて美味しいですし、カロリーを気にする人にも人気があります。今後、日本に鹿肉やバッファローが溢れて行くとは思えませんけれど、精肉業界は今年をエポックメイキングの年と認識して、豚鳥牛以外の肉を日本に普及させることに目を向けるという方針は駄目なのでしょうか。サクラ、ボタン、ヤギなど以前から日本でもいろいろな肉が食されていたのですから、鹿、駝鳥に七面鳥、カンガルーにワニなどの肉も含めて、食わず嫌いを無くす良いチャンスのようにも思えます。




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