Bartok Gallery info@bartok-eye.com |
|
 |
 |
第17回 アーティスト対談 『アメリカ、光と海のアーティスト』
鈴木英人 エイジン本舗
------------------------------------------
1948年福岡生まれ。71年ごろから広告デザインを手懸ける。80年ごろからイラストレーターになる。85年より版画のシリーズ作品を毎年制作発表。92年船橋西武アートフォーラム、95年ニューヨーク
ニッポン クラブ
ニッポンギャラリー、97年松坂屋大阪店、98年高崎市美術館、99年美術館『えき』KYOTOほかで個展を開催。画集に『鈴木英人全版画作品集』『鈴木英人原画作品集』、CD-ROM『鈴木英人作品集』ほかがある。
---------------------------------------------------
|
(ジェイン)海のイメージの絵を描いて、海の近くに住んで、絵とライフスタイルが一緒になっている。みんな、羨ましく思います。
(英人)あのイメージは、あの山の上の、アトリエの事でしょ。
(ジェイン)最近、手放されたんですよね。よく、テレビのお宅拝見で見ました。
(英人)ほんと、よく取材が来てたな〜。10年ほど前に、山の上のアトリエを作ったんだ。
(英人)俳優の小沢栄太郎さんの家を買って、アメリカから職人をよんで、2年もかかって作ってもらったんだ。
(ジェイン)だから、アメリカの家そのものでしたね。
(英人)家具も、その時コーディネートして取り寄せたから、そう見えるんだよね。
(ジェイン)なんで、売っちゃったんですか?。
(英人)生き方を変えようと思ったんだな〜。
(英人)物に縛られて生きるのは、止めようと思った。
(英人)まぁ〜、買った時も、その時は、予算もあったし、軽い気持ちで買った様なものだから…。
(ジェイン)すごく絵が売れて、お金が余ってたんですね。
(英人)「……(ニコニコ)」
(ジェイン)あぁ〜、そう言うきっかけだったら、分かる気がします。そこまでの買い物した事はないけど。
(ジェイン)英人さんって、物に執着しないタイプなんですね。
(英人)あッ〜、そうかもしれないね〜。もう、57だしね。歳をとったって事かな。持ってるものが、足でまといになってきた。もっとシンプルに生きよう。カッコよく言えば、人生を変えたい。そんな感じかな。
(英人)今までは、欲しい欲しいですよ。
(英人)真剣に絵以外に、他に取り組んだ事がないんだ。それだけ、忙しかったって事だね。
(英人)歳とってくると、いろんな事がしたくなくなってくるのね。
(英人)自分が描く絵を、本当に描きたかった事に、しぼっていくしかなくなって来る。
(英人)他には何もやってきてないしね。
(ジェイン)趣味とかは、無いんですか?。
(英人)車とかはあったけどね。
(ジェイン)車が、好きなんですか、どんな車?。
(ジェイン)アメリカの車?。
(英人)ポルシェ356とか、そういう感じの。クラシックなタイプの車かな。
(ジェイン)全然、分かんない。
(英人)オープンカーでほら、あの、ジェームスディーンが乗ってて事故にあった車だよ。
(ジェイン)え〜、ポルシェが好きなんですか?。
(英人)今も足には、普通のポルシェに乗ってるけどね。当時は、古いポルシェ以外にも、数台持ってたよ。
(ジェイン)え〜、それコレクションしてたってことですか?
(英人)そうねえ。
(英人)今は、それもみんな手放しちゃったけど。今は、普通のポルシェだけなんだ〜。それから、自転車、自転車。
 
(英人)ここ(アトリエ)にも、家から自転車だよ。
(ジェイン)私も自転車で通っています。私の持っているポルシェはトミカですけど。
(ジェイン)やっぱり、何時も海を見ながら、絵を描いていたんですね。
(英人)海を見ながらっていうより、映画を見ながら描いていた。
(英人)アメリカの映画が好きだから……。ハリウッド映画ね。ハードディスクで録画してあるから、ず〜っと、仕事中流しっぱなし。
(英人)脚本も大切だけど、ファンタジーとか、コメディとかは好きじゃない。映像自体が良いのがいい。シチュエーションが大事。
(英人)光のあたり方、カメラマンの目ってあるでしょ。
(ジェイン)英人さんの絵は、光にあふれていますね。それが特徴的ですね。
(英人)そうだね。光は大切だね。
(英人)去年の暮れから、「エンジェルスインアメリカ」テレビドラマなんだけど、6時間(6回)で完結する話で、アル・パチーノ主演、ホモセクシュアルの凄い話なんだ。
(英人)ゴヤ、レンブラントとか、昔の宗教画を意識して、カメラマンが撮った様な感じの。
(ジェイン)その映像が、綺麗なんですね。
(英人)そういうのを見ながら、いろいろインスピレーションがわくでしょ。
 
(ジェイン)アイデアやイメージがどんどん出てくるんですね。
(英人)映画がなかったら、僕はダメ。
(英人)30才の時…、1980年にイラストレーターになったんですけど、その頃から映画を観ていた。今、ハイビジョンで凄く綺麗。もう、おそろしくキレイですよ。今の様なシステムが、僕が40才くらいの時、できていれば、もっと刺激受けたと思うよ。
(英人)パーティなんか、わりとだめなんです。いろんな人が大勢いる所が、苦手。
(ジェイン)英人さんは、普通のイラストレーターと違いますよね。でかたがタレントみたいだから。もっと、社交的に思ってました。
(英人)ほんとに、仲良しの友達といるのがいい、そういうタイプだなぁ。
(ジェイン)へぇ〜。
(英人)高校生の頃から、ずっと、逗子なんで。馴れちゃってるっていうのもあるけどね。友達は、すごく仲良しが密に周りにいる。
(ジェイン)小坪海岸の酒屋のおじさんも、仲良しでしょ。
(英人)そうだよ、なんで?。
(ジェイン)私、さっき、住所を間違えて、山の上のアトリエの方に行ってたんです。途中で、道を聞いた酒屋さんが、住所を言っただけで、
(酒屋のおじさん)「あっ、それ、英人さんとこでしょ(笑)。ファンクラブの子?」
(ジェイン)そうです。遊びに行くんです。
(酒屋のおじさん)あそこには、いないよ(笑)。
(ジェイン)知ってます。引っ越したから、新しい方のアトリエに行こうと思ったんです。住所、逆に思っちゃったみたい。
(酒屋のおじさん)英人さんの所、分かるよ。元々のアトリエに戻ってるから、そこの場所はね〜。あ〜お前、送ってってやれよ。
(通りがかりの漁師のおにいさん)いや〜、今、船出すところだから。悪いね〜。
(ジェイン)みんな、友達だったんですね。
(英人)飲み仲間なんだよ(笑)。
(英人)地元の漁師仲間の会に入ってるんだ。
(ジェイン)本格的。
(英人)釣は趣味だけど、仲間と飲むだけ。よくたまって飲んでるんだ。
(ジェイン)それにしても、山の上のアトリエも、コレクションの車も手放しちゃうなんて、もったいないな〜。ほんとに、物に執着しないほうなんですね。
(英人)いやぁ〜、僕も今までは、もっともっと(欲しい)だったから…。今になって、それが無くなったんだよ。絵が大当たりして、物凄い数が売れて、どんどん描いて、それがまた売れる。
(英人)ヨット・アメリカ・海・車など、自分が好きなもの、好きな世界を描いて…。それが凄く売れたからね。
(英人)昔は、NTT・コカコーラ・マクドナルドとか、いろんな仕事をやっていて、そういうのはそんなにつづく分けがない。長くつづく人なんてあり得ないと思った。
(英人)それで、現代美術をやってた事もあったんで、描きたいものを描くって言う事でいうと、僕の場合、版画を作る事だと思った。1986〜7年から、ず〜と作品を作っていた。10作から20作、60作っていくうちに、1990年頃、画商の目にとまって。ちょうど100作品程作ったところだった。
(英人)良かったのは、そのタイミングに自分が作品を持っていた。展覧会に出せる作品を、持っていたという事ですよね。当時、晴海で毎年アート見本市があって、そこに出展したんだ。
(ジェイン)今は、そういう催しって、無いですよね。
(英人)そうだね〜。
(ジェイン)今、オーストラリアで、アート見本市が盛んに行なわれているそうです。そういうブームで、若い人が絵を買う事がとても盛んな様です。
(ジェイン)晴海のアート見本市では、英人さんの作品、いくらくらいのが凄く売れていたんですか?。
(英人)30万位の作品が売れた。客層は30代の人が中心。始めは男性が多かったんだけど。後になって、海とか花とか、描く様になってからは、女性も増えてきた。
(ジェイン)それで、お金が沢山入ったんですね〜。
(英人)40才の時に、このアトリエを、ここに建てたんだ。今は、作品の保管庫と事務所になってるけど。
(ジェイン)ちょっと、見てきていいですか?
(ジェイン)凄い数ですね。
  
(英人)展覧会で全国回って戻って来た作品を、ここで全部管理しているんだ。
(ジェイン)あそこのスクリーン、大きいですね。あれで映画を見ながら、ここで作品作りしてたんですね。
(ジェイン)天井も凄く高いし。あっちの部屋に、バーカウンターみたいなのが、ありませんでした?
(英人)あ〜ぁ、あれね。実はここ、最初はアトリエにするつもりじゃなかったんだ。小さな美術館にするつもりで作ったんだよ。
(ジェイン)鈴木英人の美術館?
(英人)違う、違う。「現代美術クラブ」。
(英人)好きで、現代美術の方が、詳しいから、現代美術の美術館だよ。さっき、入り口の所にあったでしょ。
 (ジェイン)オブジェですか?
(英人)そうそう、関根伸夫さんの作品で、凄く有名なんだよ。ここの美術館の為に、頼んで作って貰ったんだ。
(英人)結局、美術館にはしなかったんだけど。
(ジェイン)それで、アトリエとして使う事にしたんですね?
(英人)だから、ちょっとへんな造りでしょ、ここは。
(英人)最近、ここに戻って来たから。
(ジェイン)TVでよく紹介される、海の見えるアトリエから?
(英人)つい最近、引っ越して来たから。まだなんにも片付いてなくて。
(ジェイン)じゃ、これからは、ここで作品作るんですね。
(英人)ここは、刷り工房みたいなもんかな〜。"鈴木英人本舗"の…。直ぐ近くに、自宅があるから、そこでも作業するよ。
  
|
TOP |
|
|
© 2003-2005 Bartok Gallery.All Rights Reserved. (info@bartok-eye.com) |
|
|
このホームページの写真イラストデザインなどの無断転載・複製を禁じます |
|
 |