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第19回 アーティスト対談 『不思議な空間

 下谷二助



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1942年東京生まれ。90年講談社出版文化賞さしえ賞、91年講談社『年鑑日本のイラストレーション』作家賞ほか受賞。ネズミ捕り器やバケツなど世界の雑貨コレクターでもあり、87年「バケツ展」、92年「ニスケは何を考えているのか展」、93年「ネズミ捕り器の新しい設計図展」、97年「人じん展」ほかの個展を開催。著書には『ネズミ事師の仕事と生活』情報センター出版局、『しゃべる肉体』共著、講談社、『描く書くしかじか』旬報社ほかがある。

新刊
「かもめ」 寺山修司・文 + 下谷ニ助・絵
寺山修司生誕70周年企画 A5判4色刷48頁(株)アートン刊1,575円(税込)


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(ジェイン)お仕事はどんなペースでなさってるんですか?。朝方ですか、夜型?。

(下谷)だいたい、ぼくはお昼頃です、出てくるのは。 11時から12時の間に、仕事場に入るのが毎日です。 日が暮れる夕方の6時〜7時まで、仕事をしています。

(下谷)その後は、友達や仕事仲間達との寄り合いに顔を出したり、あちこちのギャラリーのオープニングパーティに出かけたり、いろいろです。それがなければ、結構遅くまで仕事しています。

(ジェイン)夜11時頃までですか〜。



(ジェイン)あの〜…。天井いっぱいの道具達は何ですか?

(下谷)約半分がネズミ捕りです。あとはいろんな道具。一生懸命旅行してた頃の記念品です。

(ジェイン)コレクションですか?

(下谷)まあ、そうね〜。昔そういう愚かしいことしてました。集めてた物を、置いておく所がなくなって、天井に掛けたのがそのままになってるだけ。

(ジェイン)それにしても、怖いですね。 すごい数で…。 落ちてきそう。


(下谷)ネズミ捕りの話しをすると長くなるので、今日はちょっとこれを、お見せしましょう。何だと思いますか?。

(ジェイン)それは、ネズミ捕りじゃないですよね。何か、ペットを飼う籠ですか?

(下谷)うう〜ん…。

(ジェイン)ここから餌が入るみたいだから??…。

(下谷)このぜんまいで、こんなふうに動くんですよ。

(下谷)実に、ゆったりとしたスピードでしょう。

(ジェイン)「…(シーン)…………)」 あっ、もしかしたら鰹節削り。

(下谷)ハエ取り機です。

(ジェイン)え〜、気持ちワル(恐)触ってしまいました。

(下谷)まあ、大正時代のものだから、ばい菌は取れてますよ。

(ジェイン)そんなものを、どうして持ってるんですか?

(下谷)15年位前かな〜。雑誌のサライの人が、ネズミ捕り機の取材でうちに来ましてね。その人が、持ってたものなんだけど。

この部屋で取材をしたあと、ハエ取り機はこの場所にピッタリだっていうので、プレゼントしてくれたんです。

(ジェイン)へぇ〜、編集者が置いていったんですか?。

(下谷)編集者じゃなくて、ルポルタージュの記者さんですね。

(下谷)この手の、ハエ取り機は、今では、金鳥かどこか蚊取り線香の会社の資料室にあるくらいじゃないかっていう話だけど…。


(ジェイン)貴重なんですね。

(下谷)大正時代には、こんな悠長なハエ取り機が沢山売られてたらしい。雑誌かなんかで女性コレクターの記事の中に同じようなものを見たことあるけど、意外にあちこちまだ残っているのかもしれないですね。

(ジェイン)今でいう扇風機ぐらい、何処のうちにもあったんでしょうか?

(下谷)さあ…。ハエが気づかないスピード、そのうちの最速のスピードで回転しているシリンダーに留まったハエが、暗い奈落に落ちる。そして、このちっちゃな穴から差し込む一条の光を辿って、網で囲われた箱のなかに集められるという仕掛けですよ。賽の河原でしょう。

(ジェイン)どういう意味ですか?

(下谷)きりが無いって事です。


(下谷)ハエとり紙は知ってますか?


(ジェイン)知ってます。ワカメみたいな、のしイカみたいな物ですよね?

(下谷)安くて便利でこれよりまだましの様に思いますけど、ハエ取り紙の歴史は、意外と新しいんです。おそらく大正時代には、まだ無かったかもしれない。

(下谷)このハエ取り機の方が、古いという訳です。たぶん、何処の家でもこのハエ取り機があったわけでは無いんでしょう。

(ジェイン)へぇ〜、そうなんですか。

(下谷)シンボリックに使われたんだと思います。

(下谷)「清潔さを大切にする店屋、たとえば生ものを扱う店とか食堂とか、衛生に注意しているという証に、店先にこのハエ取り機を置いていたんですね。察するに。


コッチ、コッチと歯車の回る音からして、何とものんびり回るでしょう。胃潰瘍の人も治るんじゃないですかねぇ。これを見ていると。あんたみたいなおしゃべりな人も、少し静かになるかもしれません。へへへ……


(ジェイン)やっぱり、気持ち悪い。

(下谷)気持ち悪いですか。私にはこのなんともよき時代の風情が心地いいですけれど。


                        
(インタビュー 2005年4月)


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