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ジェインのアーティスト対談
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第1回 吉井宏さんとジェインの新春対談
第2回 ラジカルジェインの食いしん坊談義
第3回 ぼくのすいぞくかん館長友永たろさん
第4回 『鳥カゴの部屋の191番』坂川栄治さん
第5回 『最高の贅沢』坂川栄治 |
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(ジェイン) 仕事で依頼された写真と、『Timescapes』のように、自分が表現したい作品制作との頭の切り替え大変だと思うのですけれど。どうやってうまくバランスとるのですか?。広川さんみたいに仕事が忙しい人は作品作らない人多いと思います。イラストレーターは自分の作品、作風こだわるけど、写真はしっかり写ってればいいから、「作品なんて」って人がほとんど。広川さんは少ないタイプですね。でも、そのクリエイティブな仕事や姿勢、作品のクオリティが仕事増やしているんですね。大判カメラ(8×10)で昼と夜の多重露光、しかも夜はずっと起きてシャッターを開けっ放し。極限の場所でそんな神業みたいなこと延べ12年にわたって作品完成させるなんて、ただただ頭が下がります。
http://www.whiteroomgallery.com/artists/taishi_hirokawa/index.html
(広川) 『Timescapes』の制作中にアシスタントが4人卒業したけど、12年はそれほど長くは感じなかった。ずっとそれに掛かりきりじゃないしね。その間に、広告や他の仕事をしているわけだから。たまたま両方(コマーシャルも自分のテーマも)同じ写真。何かを感じて、それを受け止め、形にする。僕はそれを、写真を使って形にしているって事なんだ。
(ジェイン) シンプルな考え方ですね。少しの迷いもないし。感じ取れる力が、(特別な)才能のことですか。そうですよね。
(広川)才能といえば、みんなそれ(感じ取る力)を持っていると思う。人によってそれぞれ異うと思うけれどただ、それを気づくか、意識するかどうかの問題だと思うよ。
(ジェイン) みんなすごい場所ですね。アメリカ・オーストラリアは勿論、アフリカ・中東・モンゴルなど。広大な大地とたくさんの星空。これが地球かなって思ってしまうほど。別の星みたい。SFの世界?。
(広川) 世界中がキャンバス。飛行機をタイムマシーンみたいに思っているんだ。選んだ撮影場所は、国によって時代、人格、価値観までもさまざま。だから、タイムマシーンを体感している感じがする。行く場所によっては、時間の流れ方も違う。東京とは。一日24時間、あっという間に過ぎちゃうけど。時間が止まったようなゆっくり流れている場所もあるし。
自分はその場所に馴染むのも溶け込むのも早いから。
(ジェイン) 広川さんはナチュラルだから溶け込みやすいんじゃないですか。子供のような順応性もあると思うし…。
(広川) 子供は好奇心も旺盛だし。自我がまだ無い、むくな時期があるでしょ。色んなものに染まらない純粋な時期。その頃の心を持とうと意識してるのかな。
(ジェイン) 順応性があるっていえば、食べ物なんかでも困らないんですよね。海外に行く事が多いと、食べ物で困ることが多いから。
(広川) 基本的に好き嫌いは無いから。何でも食べるよ。カメラを据えると動けない、寝袋を持って行って野宿するわけだから、登山用の食事を持っていく事もあるけど…。現地調達するよ。
(ジェイン) 何食べても大丈夫ですか?
(広川) ひどい目にあったのは一回だけ。沢山行ってるのに。
(ジェイン) 何を食べたんですか?
(広川) シリアで、今思えばサラダだったと思うけど…。生野菜を洗った水、高熱と下痢で一週間苦しんだ。
(ジェイン) 生きるか、死ぬかだったんですね。
(広川) 病院には行かずに、持ちこたえて何とかなった。
(ジェイン) それでどうしたんですか?。
(広川) 最後は、どうにもならなくて、現地の薬を適当に買って飲んだんだ。
(ジェイン) シリアって未知の国の解らない薬を飲むのも、もっと怖いですね。
(ジェイン) それで、治ったんですよね。今生きているから。広川さん、凄いですね。見た目はデリケートに見えるから。
(広川) 体は鍛えればタフになるんだから、いいんだよ。風雪、砂嵐でも耐えられるようにね。どうにでもなるんだよ(笑)
(ジェイン) 広川さんは、外国に行くとき梅干とか日本食持っていかないと耐えられないタイプじゃないですよね。
(広川) いやぁ〜、やっぱり持っていくよ。梅干とか、カップ味噌汁とか…。
(ジェイン) エ〜ッ。
(広川) いや、ちょっとだけどね。
(ジェイン) アシスタントの人が欲しがるんでしょ?。
(広川) いやそんなことないです。
(ジェイン) 世界中、地の果てまで出かけて、何でも食べて楽しんでいる広川さんに、好きな食べ物は?なんて聞いても、答えるの難しいと思いますが、それでも、好きなのを一つと言ったら?。
(広川) 日本そばが好きだね。
(ジェイン) 好きな店、良く行く処はあるんですか。
(広川) 今は無くなってしまったけど、目黒の…
(ジェイン) 一茶庵ですか?。
(広川) そう、そう。よく行っていた。
(ジェイン) 日本酒飲みながら、おそばを食べるんですか?。
(広川) いいねえ。
(ジェイン) お酒好きなんですね。良く飲みますか?。
(広川) 色んな所(世界中)に行って、いいお酒を楽しむんだよ。撮影の後だけど。
(ジェイン) 時間がながいから、お酒を飲みながら撮影するのかと思った。
(広川) 終わってからだよ。例えばモンゴルにはウォッカがあるし…。酒が無い国もあるけど。
(ジェイン) 他のインタビューで、最初、夜中の撮影でも寝袋も使わないで我慢していたって言ってたけど?。
(広川) そうそう、無謀にも何も用意しないで、そういう場所に出かけて行ってかなりひどい目にあった(笑)
(ジェイン) 部屋の中で、机の上の画用紙やコンピューターの画面と向き合っているのと違って、壮大なロマンを感じます。写真家ってカッコいいですね。
(ジェイン) 普段は、コマーシャルの仕事が多いんですよね?。
(広川) スチールだけじゃなくて、映像も多いんだよ。プロになる前(二十歳の頃)、映画がやりたくて始めたから…。学生運動の頃だから、学校に行かないで…・。友だちといったら、8ミリを一緒に撮っていた仲間だったんだ。そのうち、一人で何か作ってみたくなって(共同作業じゃなくて)。8ミリの一コマ、一コマの世界が面白くなって、写真を始めた。ちょうどその時代が、森山大道など脚光浴びてた時代で。
(広川) オリジナリティがあって、世界で通用する写真家になりたいんだ。
(ジェイン) 広川さんの作品、海外の美術館でもコレクションしてますよね。
(広川) 世界中で、もっともっと写真展したい。色んな所から声をかけてもらい世界中の人に見てもらいたいんだ。
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